会社の辞め方と、その後の付き合い方
~独立後も前職と良好な関係を保つために~
はじめに
ITエンジニアがフリーランスとして独立する際、前職の会社との関係が今後のキャリアや仕事の獲得に大きく影響するケースがあります。「もともと在籍していた企業からフリーランスとして案件をもらう」というのは、よく案件獲得の成功パターンのひとつです。
一方で、退職時のコミュニケーションや手続きが不十分だと、後味が悪い別れ方になり、仕事を紹介してもらうチャンスを失ってしまう可能性もあります。そこで、本記事では会社の辞め方の基本と、退職後に良好な関係を保つコツを整理しました。
1. 会社の辞め方:円満退社が大前提
1-1. 退職意向の伝え方
事前に上司へ相談
直属の上司に直接会って「退職を考えています」と意向を伝えるのが基本です。メールやチャットのみでの連絡は誤解が生じやすいので、まずは面談を設けましょう。
退職理由はシンプルに
「フリーランスとしてキャリアを広げたい」「新しい働き方に挑戦したい」など、前向きな理由を端的に述べます。会社や上司の批判は避けましょう。
1-2. 退職スケジュールと引き継ぎ
退職意思を伝える時期
正社員の場合、就業規則に定められた期間(例:1か月前)を目安に、プロジェクトのフェーズなども考慮してなるべく早めに伝えるとよいです。
引き継ぎ資料の整備
コードやドキュメントなどをしっかり整理しておくと評価が上がります。短期間のアドバイス対応など、後任担当者のサポート姿勢を示すと印象が良いです。
1-3. 退職日までのモラル
業務の遅延を起こさない
辞めるからといって手を抜くと評価は一気に下がり、退職後の仕事紹介などにも影響します。
会社支給物やデータの扱いに注意
ノートPCやクラウドストレージ上の情報を退職後に無断で持ち出さないようにします。最終出社日までに整理・削除を行いましょう。
1-4. 引き留められた場合
- 誠実に対応しますが、最終意思が変わらないなら決断を伝えます
- 雇用契約は2週間で終了できます(民法上の原則)
- 退職後の業務提携などを検討してもよいです
2. 退職後も良好な関係を保つ理由
2-1. 前職から案件を受注できる可能性
フリーランスエンジニアにとって、最初のクライアントが前職の会社というケースは多いです。既にスキルや仕事ぶりを知ってもらえているため、契約しやすいメリットがあります。
2-2. リファラル(口コミ)による紹介
上司や同僚が他社や取引先にエンジニアを探す際、「彼なら安心して任せられる」と紹介してくれる場合があります。特にITでは信頼できる人材の口コミ効果は大きいです。
2-3. 再就職や業務委託の可能性
もし独立後にやむを得ない事情で会社勤めに戻りたい場合、円満退社をしておけば元の会社に復帰したり、業務委託として緩やかに関わったりする選択肢が生まれます。
3. 退職後に良好な関係を維持する方法
3-1. 丁寧な退職の挨拶
社内向けメールや口頭挨拶で、感謝の言葉と「今後も必要があれば気軽にご連絡ください」という姿勢を示します。遠隔地やリモートの社員にも忘れずメッセージを送ると好印象です。
3-2. SNSや連絡先で繋がりをキープ
- LinkedInやTwitter、Slackなどで「フリーランスとして活動を始めました」と軽くアナウンスしておくと、次の案件に繋がるきっかけになります
- 技術的な雑談や趣味の話でも、ときどき関わっておけば「相談しやすい相手」という印象を与えられます
3-3. 手短なフォローもOK
- 引き継ぎ後の問い合わせに応じます
- 継続的なサポートは有償で検討します
4. 注意点:トラブルを防ぐために
4-1. 機密情報の取り扱い
在職中に扱っていたソースコードや設計資料、顧客データなどを無断で持ち出さないように注意します。知的財産や守秘義務に違反すると、退職後の信用問題に大きく影響します。
4-2. 会社の批判・内部情報の暴露を避ける
SNSや転職コミュニティなどで、組織の批判をするのはリスクが高いです。将来のビジネスチャンスを自ら壊してしまう可能性があるので控えましょう。
4-3. 競合企業への情報漏洩に注意
独立後、元の会社の競合にあたる企業から案件オファーが来ることもあります。退職時の秘密保持契約に抵触しないように慎重に扱い、トラブルを避けることが大事です。
5. まとめ:円満退社と良好な関係がフリーランスの可能性を広げる
- 誠実な辞め方が何より重要です
- 退職後の付き合いを意識します
- コミュニケーションを断たないようにします
フリーランスとして一歩踏み出す際には、円満退社がとても大切です。独立後にも前職との縁を大切にし、お互いにWin-Winとなる関係を築くことで、長期的に安定しながらフリーランスライフを楽しめるはずです。